tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費不振は続く気配?

2017年05月31日 12時27分26秒 | 経済
消費不振は続く気配?
 日本経済の最大の弱点は消費不振という事はほぼ一致した意見でしょう。
 昨日は有効求人倍率が史上最高に達したといった報道もあり、これだけ人手不足であれば、通常の社会状況なら、賃金も上がり、消費も増えて、物価も上がり、政府や日銀が望んでいるようなインフレ含みの経済状態になっていくのが自然の成り行きのように思われますが、どうもそうならないようです。

 経済成長のもう一本の柱である企業の生産活動の方は、企業体質の改善、多様な技術開発の進展、それらに支えられた新たなマーケットのフロンティアの広がりの可能性などが言われ、企業の投資活動、生産活動の活発化の様相が見られています。

 経済は、生産と消費がバランスよく拡大して、均衡成長になるのですが、日本の場合はこのところずっと、生産や投資の面は何とか堅調な動きを取り戻しつつあるようですが、個人消費、家計の消費支出がなかなか増えず、その差が経常黒字つまり生産・投資活動の成果の使い残しになって、経済成長の足を引っ張るという構図が続いています。

 今年に入って、こうした構造状態を反映する消費性向や消費者物価の動きに、何か少し変化が見られ、消費の活発化が順調な経済成長につながるかといった動きも見えたように思いましたが、最近の統計を見ますと、どうもそれは糠喜びだったようです。

 下は、この2年間の勤労者所帯の平均消費性向(総務省家計調査)を見たものですが、今年に入っての上昇傾向が4月にはまた下落に転じてしまいました。



 消費者物価指数にしても、全体は上がり基調ですが、お天気や海外事情で動く部分を除いた、「生鮮食品とエネルギーを除く総合」では、1、2月上昇がみられましたが、3月はマイナス、4月はゼロで、物価上昇傾向も消えたようです。

 消費の動向は、国民の感じる将来不安に左右されると見られていますが、現政権の政策では、国民の将来不安は相変わらず続くという事でしょうか。

 統計数字は正直ですので、こうした数字を見て来ますと、現状のような政策を続ける限りでは、日本経済の回復にはまだ時間がかかりそうな気がします。
 真面目に頑張る日本人が、先行きの不安に支配されるような状況から、気持ちを切り替え前向きになれるような政策の必要が痛感されるところです。

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